Pluto

夜明けを

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だれかが愛してくれるとおもっていた

だけどそれはゆめでしかなかった


自分を愛せないやつは
ひとがどれほど愛を傾けてくれても
その愛を本当の意味で受け取ることはできない
その愛が本当の音をもって響くことがない
なぜなら自分のことを愛せないと宣っておきながら
そのくせ自分のことが一番に可愛いと思っているからだ
その心には自分しか映らない
故につまるところ
折角のぞんだものが傍にあるときでも
手にすることがかなわない
気づいたときは手遅れ
それはよくある話
かえって其方の方が

現実っぽい


だれかが愛してくれたらと思っていた
私の愛せないあなたを
ほかの誰かが倖せにしてくれたら
まるで示しあわせたかのように
巡りあって想いあって
互いを大切に

たとえどれほど間を縮め
密に寄り添おうと努めても
ひとは彼に定められたひとつのみちしか
歩めぬということ

いつかスパンも読めぬ
別れや終わりの日が必ず
おとずれることを
痛いほど知っていようとも

どうか怯えないで
目を逸らさないで
諦めないで
生きて

 

耐えるということ

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悲しいことがあったのね
瞳を見れば分かるわ
話す必要はないよ
話したいとき
いつでも聞くから

この世にはどうしようもないことが
いっぱいあるね
その程度は人それぞれだけど
それは比べるものじゃない

 比べられるものじゃないんだよ

 

揺れる光
怯えて彷徨うように
それでも何かを必死に抱え
守ろうとしている

 

這うように

この宇宙を生きている

銀河の片隅の惑星、そのまたちいさな

ちいさな青い球体のなかで

とりあえず毎日

毎日密やかな息を吐いて

命を紡いでいる

 

そう、あなたしかいない
その魂を守れるのは

だからこそこんなに脆い器でも
日々、闇雲に訪れる嵐のなか
倒れるわけにはいかないの

そうやって燃えている灯りが
今のあなたに見えているかしら

 

悲しいことがあったのね
瞳を見れば分かるわ
隠さなくてもいいよ
見られたくないなら
見ないから

この世には通じあわぬ言葉の
なんと多いことでしょう
形は違えど想いは同じ
そんな事だってざらなのに
たかが一語、
その不在、その欠如の
なんと大きなことか

 

許す心がなければ
きっと、いまここに居ない
とっくにあなたと殺しあいをして
そして静かに死んでいただろう

真っ赤な血を見るとき、いつも思う
もしもここに、想いの全てが
含まれているのならば

あなたと私を繋ぐ
そう、例えば臍の緒が切られても
一度築かれた糸がなくなることは
決してない

黒く固まった血を見るとき、いつも思う
もしここに、私の想いの全てを
託せるのならば

あなたと私を繋いで
そう、例えば永遠に刻まれてしまった
過去のように
生々しく
純性を保ったまま
このメッセージを、
正しい形で
置いていくことができるのに

Bulimia

私の歯はどんどん削られていく
可哀想な歯
せっかく母さんが時間とお金をかけて
ちいさい頃から丈夫に、と
守ってきてくれたのに
今じゃ小さな虫食い
醜いクレーター
これは腐ったりんごと同じ
今に大きく成っていく
そのスピードを加速することを
助けているのは
他でもない私自身

だって辞められないの
よくないと分かっていながら
だって止まらないの
食べることだけが私の安心
いつしか気づけばそんな風に
成ってしまっていた

ぽっかり空いた心の穴
スースーするよ
夢も希望もあるのに
信じる気持ちが足りなくて
それさえあれば
嵌るピース
私の歯車もう一度
回転して
私を約束の地に連れて行ってくれる
そんな気がするのよ


私の肌はどんどん荒れていく
可哀想な身体
せっかく母さんが大事に
時間とお金と
あと愛情をかけて育ててくれたのに
今じゃきっと内臓も
荒れ放題 生理も止まっちゃった

でも辞められないの
浮き上がってきた肋骨
でも止められないの
嬉しくなっちゃう
腰骨だってほらこんなに
いっそ気持ち悪いくらい

ぜんぶぜんぶ
吐きだしてしまおう
どうせお前たちには分かりゃしないんだ
そうだよ、私はひとでなし
フリーク アスペ
なんでも言えばいい
その位置からならなんだって口にできる

くさいものには蓋をせよ
見たくないものは箱に閉じ込めて
目を逸らして生きていけ
こころは硬く檻の中
感じるこころは罪悪だ
いいも悪いも関係無い
時間とお金
それが全て
うまく生きられない者は脱落者
淘汰せよ!淘汰せよ!
どうだ、我々こそが正しい
見ろ、負け犬が泣いてるぞ
可笑しいなぁ!可笑しいなぁ!
弱者は喰われろ、強者が絶対
負けたお前がわるいんだ
悔しいなら、這い上がってみろ
どうだ、ここまで来てみろよ!

私の時間はどんどん削られていく
可哀想なもうひとりの私
せっかく今日も生き延びたのに
せっかくまだ生かされているのに
影で消えていった命が泣いている
肉にも骨にもなれずに
ただ流れていった
私が重ねた罪はいくつ?
それでもあなたは私に言うの?
死んではいけない、
生きろ、と

ぽっかり空いた心の穴
スースーするよ
暇な外野は今日も揚げ足取りに夢中で
いつだって嫌らしい眼を光らせ
舌舐めずりして牙を覗かしている
それでもそう、あなたは言うの
死んではいけない、
生きろ、

信じる気持ち
あと少しの勇気
それさえあれば
もう一度まわる歯車
もう一度
歩いて
私の脚
私を約束の地に連れて行って
あなたが待つその場所へ

遅いものなんて本当はなに一つない
すべてが惰性を許すためのいい訳だった
あいつらが何を言ってきたって構いはしない
信念なき者の罵声
志を忘れた人間の嫉みは
ただの雑音だ
大して私と代わりゃしないよ

見ろ、その瞳はまるで
死んだ魚か、
或いはハイエナのそれみたいじゃないか

淘汰されてたまるか
お前に、私に
私は問う
お前は誰だ、
私は誰
その命もう一度
息を吹き込んで
風が吹く
馬鹿にしていた種が咲く
開いた花は枯れていく
それでもそこにこそ
きみの栄光がある


動け、もう一度
私の心
響け、今度こそ
きみの耳に
もう一度、何度でも

無価値なんて言わせない
無意味なんて言わせない

いつか心から言いたいよ、

生まれてきてくれて、
ありがとう