Pluto

夜明けを

gifted

あなたが誰かの姿を借りて
わたしの前に立つとき
その人の輪郭が朧げに
光ってみえること、
きっと気づいているのはわたしだけ

あなたが誰かの姿を借りて
その想いを伝えようとするとき
その人の声が
微かに柔らかく響くこと、
きっと気づいているのはわたしだけ

目を閉じた時に誰を想う
もしも今夜夢のなかで
ひとり
必ず逢えると約束されるなら
あなたは誰を選ぶ

あなたが嫌う呼称を敢えて
わたしは口にしよう


かみさま、
神さま


今日、ほんのすこしだけ勇気をください

寒いと震えるあの人に蝋燭の灯を
凍えて眠れないあの子に暖かな毛布を
プレゼントを待ち望む彼にはそれを
何も要らないから、とママの快復を祈った
あの少女には奇跡を


大人になったら忘れてしまった
いいえ、本当は憶えている
目覚めた時のわくわくした感情
枕元にそっと置かれた確かな愛情

あなたがもしも知らないと言うのなら
この手の平から伝えられたらいい
熱は言葉に
記憶は支えに

どうか、受け取ってほしい
ささやかな祈り
どうか思い出してほしい
その音が一体どんなものだったのか

今夜だけ、もしかしたら
私にも使えるかもしれない魔法
それは決して醒めることがなく
消えることもない

言えなかったごめんねを言おう
届かなかった愛を語ろう
叶わなかった夢に息を吹き込み
新たな蕾を一緒に待ち望もう


現実はおとぎ話とは違うけれど、
今夜だけは騙されてみよう
感受したこころの欲望
それは確かに、あなたの象をしていた

聞きたかったのは、なんでもない
ただあなたから響く
素晴らしき、あなたの歌声